私はホカバを目指す子供たちの母親のことを“卓球母(たっきゅうぼ)”と呼んでいます。家事・育児・仕事よりも、“子供の卓球サポート”にTO DOが偏る彼女たち。夕食のお弁当作り、毎日の送迎、声を枯らす応援など。その特殊な日常に触れるため、カグヤガールズの卓球母5人に話を聞きました。

カグヤガールズとは?
カグヤガールズとは、Tリーグの女性卓球プロチームである「京都カグヤライズ」の下部育成組織のこと。一期生・二期生あわせて30名。全国から選ばれた小学生~中学生の女子で構成される。主な活動は、技術の向上を目指すチーム練習や合宿、京都カグヤライズのホームゲームの運営サポート、SNSによる情報発信など。これらの活動を通じて「応援される存在」になることを目指すプロジェクトです。

トークに参加した卓球母はこのメンバー

福留敦子さん(30代/大阪)

二期生・朱里ちゃん(12歳 緑橋卓球場所属)の母。学生時代は演劇部に所属。元バンドマンの夫とともにエンタメ精神あふれる娘に育てる予定が、朱里ちゃんに「ダンスよりも卓球の方が楽しい」と言われ、家族で未知なる卓球の世界に足を踏み入れることに。

寺島千佳さん(30代/静岡)

一期生・叶乃愛ちゃん(8歳)・瑠愛菜ちゃん(5歳 ともにASURA SD所属)の母。母方の親族は卓球ガチ勢という卓球一家に生まれながらも高校時代は卓球部の幽霊部員としてゆるく活動。その後も卓球との縁は続き、卓球界で働く夫と卓球を頑張る娘のサポートに邁進中。

白藤梨紗さん(30代/京都)

一期生・優芽ちゃん(12歳 田阪卓研所属)の母。小学校3年生から卓球をはじめ、卓球を休んだのは新社会人の2年間だけという卓球ガチレディース。「子供ができたら卓球をさせる」は、卓球経験者の夫とのコミットだった……?!

奥香穂里さん(30代/石川)

一期生・ひなたちゃん(9歳 かほくジュニア)の母。全日本医歯薬学生卓球大会で3位の実績を誇る卓球経験者。現在は幼児教育施設でのパートのかたわら、ふたりの子供の生活と卓球をほぼワンオペでサポート。

小林由美さん(40代/愛知)

一期生・夢佳ちゃん(14歳)、紬希ちゃん(12歳 ともにASURA所属)の母。学生時代は剣道一筋だった畑違いの公務員。子供が卓球を習い始めた頃は剣道との違いに戸惑いもあったが、現在は卓球Tシャツが普段着になるほど卓球界に染まる。

卓球経験関係なし! 卓球母になる日は突然に

卓球レディース

お子さんに卓球を習わせたきっかけから教えてください。

福留さん

うちの子は保育園で卓球をはじめました。子供を預けていた保育園には独自のカリキュラムに卓球があったからです。毎日の保育時間中にめいっぱい練習させてくれるので、迎えに行ったときには朱里はへとへと。その後にピアノ教室に連れて行っても、先生に「卓球で疲れて、レッスン中に寝てますよ」と言われる始末。本人も「卓球の方が楽しい」というので、本格的に卓球を習わせることにしました。

小林さん

うちの子も小学校の児童クラブで卓球の楽しさに目覚めました。わたしたち夫婦は学生時代に剣道に打ち込んだので、子供にもスポーツで進学してほしいという思いがありました。陸上や体操など、いろいろなスポーツに挑戦させましたが、やっぱり卓球が一番性に合ったみたい。夢佳が3年生、紬希が1年生の時に地元のクラブチームに入りました。

奥さん

うちの子は5年前に開催された東京オリンピックがきっかけでした。混合ダブルスの決勝戦で日本ペアが金メダルを獲ったシーンに感動したのでしょう。テレビを観た後に、自分から「卓球やりたい」と言い出しました。私は卓球経験者ですが、卓球をやらせるつもりはなかったんですけどね。何かスポーツを習わせたいと考えていたので、卓球に決めました。

白藤さん

うちは子供ができたら卓球を習わせるつもりでいたんです。私たち夫婦も卓球経験者なもので。優芽には2歳からラケットを持たせていました。卓球教室のコーチには「おむつが外れたら来てもいいよ」と言われていたので、教室に通い始めたのは優芽が3歳の頃です。

寺島さん

うちも夫婦ともに卓球経験者なのですが、私は卓球部の幽霊部員で、そこまで卓球にのめり込みませんでした。子供が卓球をはじめたきっかけは卓球関係の仕事に就く夫の意向です。叶乃愛も瑠愛菜も年小さんから卓球をがんばっています。

卓球レディース

みなさん、きっかけはさまざまですが、幼い頃から卓球に励まれているんですね!

子どもの頑張る姿を励みに卓球母も頑張る!

卓球レディース

がんばるお子さんの姿をみられることは幸せだと思いますが、その競技生活を支えるなかで苦労はありますか?

福留さん

私は卓球の知識がなく、「失敗したな」と思うことがよくありました。試合会場で出会う人に気軽に声をかけていたら、「あの人、元日本代表ですよ」とコーチにささやかれて恥ずかしい思いをしたことも。子供の大会が全国各地で行われていることも知らなくて、百万石オープンという大会があると聞いた時はコーチに「石川まで行くんですか?」と大きな声で聞き返してしまいました。今では遠征が当たり前になり、年間に10ヵ所以上の他県会場に向かいます。旅費や練習費などで1回の遠征にかかる費用は4~5万円。遠征費がばかになりません。

寺島さん

遠征は本当にたいへんですよね。うちは車で移動することが多く、他県の試合だと4〜5時間かけて向かうことも。会場に着けば、いろいろなお友達に会えるし、子どもにとっても楽しい時間になるので、できるだけ参加させてあげたいと思っています。ただ、うちは子ども2人を連れての参加になるので、どうしても交通費や宿泊費などの負担も大きくなってしまって。もし大会や遠征で利用できる助成金などがあると、ありがたいのですが。

奥さん

うちは片道1時間以上かかる道のりを車で送迎しています。パートから帰ると家の用事を済ませる時間もなく、すぐに出発。忙しないですね。帰りの車でひなたを寝かせて、家に着くと、ひなたをお風呂に入れてすぐに寝かせますが、私には家の用事が待っています。日付けが変わってから子供のランドセルチェックをはじめて宿題や持ち物を確認。目まぐるしい日々ですが、子どもたちの頑張る姿を見ると、こちらも頑張ろうと思えます。

小林さん

うちも子供たちが教室の毎日コースに入ってから家族の生活がガラリと変わりました。私はフルタイムで働いているので、子供は自分たちで卓球場へ向かいます。下の娘が低学年の頃は、片道1時間以上の移動が心配でなりませんでした。私も家に帰るとすぐにお弁当を作って、休憩時間に間に合うように車でお弁当を届けに行きます。その後はカフェへ移動して、持ち帰り仕事をすることもしばしば。仕事と子供のサポートの両立はたいへんです。

白藤さん

私も晩ごはんのお弁当作りは日課です。パートが終わったら、食材の買い出しに行き、お弁当を準備してから卓球場へ向かいます。卓球場での練習が終わるのは午後の10~11時。12時までに寝かせるように努めていますが、子供にとっても過酷なスケジュールです。

卓球レディース

親子ともに多忙な日々を送られているんですね。頭が下がります。もちろん、競技との向き合い方や生活スタイルは各家庭によって違うと思いますが、参考になります。

やる気スイッチオン! カグヤガールズの効果とは

卓球レディース

平日は練習、休日は遠征試合と忙しい競技生活を送るなかで、お子さんたちはさらにカグヤガールズにも挑戦しました。カグヤガールズに入って良かったことはありますか?

寺島さん

カグヤガールズに入ってから、叶乃愛が「プロになりたい」と言い出しました。選手のみなさんに直接指導してもらえたことで夢が芽生えたのでしょう。レベルの高いカグヤガールズのみんなに会えることも日々の努力につながっています。叶乃愛が自主的に練習する姿を見て、妹の瑠愛菜も「お姉ちゃんがやるならやる」と頑張れるように。二人とも成長できています。

福留さん

カグヤガールズは、モチベーションが高い子ばかりですから。みんなから良い刺激を受けて朱里も高いモチベーションを保ち続けることができています。

奥さん

同学年の子もいるけど、低学年から高学年まで、いろんな年齢の子たちが集まっているのがいいですよね。ひなたも「この子に追いつきたい」「この子に負けたくない」とモチベーションが上がりました。憧れの出雲美空選手にも「いっぱい教えてもらいたい」ってワクワクしています。

小林さん

プロの選手と触れ合える機会が多いですからね。プロがどんな思いで卓球をしているか、どんな生活をしているか、肌で感じられる環境に感謝しています。

白藤さん

良かったのは全国に仲間ができたこと。みんなと「全国の大会で会おう」と思い合えることで、練習のモチベーションが上がりました。ほかにも、クラブチームではできない、さまざまな経験ができる環境に感謝しています。

卓球レディース

なるほど。カグヤガールズに入ったことで、プロを目指すきっかけができたり、全国の仲間から良い刺激をもらえたり、プロ選手との交流で夢が広がったり、得られることが多いですね。クラブチームとの両立でたいへんかもしれませんが、自分たちの未来のために頑張ってほしいです。

愛すべき卓球界、もっと盛り上がってほしい!

卓球レディース

カグヤガールズ効果でお子さんたちのモチベーションが上がって良かったですね。最後に、卓球母として卓球界の近未来に望むことを教えてください。些細なことでもかまいません。

福留さん

できれば大会で上位入賞した子たちへの記念品を見直してほしいです。もちろん、地域によりますが、府予選を一位通過しても認定証一枚しかもらえないのは寂しい。他競技は立派な賞状やトロフィー、メダルがあると聞きます。メダルをかけてもらえるだけでも、子供たちのモチベーションは上がると思うのですが。

寺島さん

私は試合の進行時間も少し気になっています。子どもは待ち時間が長くなると、だんだんと集中が落ちていくこともあるし、午後の遅い時間帯になると疲れて眠くなってしまう子もいるかなと思います。もし空いている台があれば、状況を見ながら少しずつ試合を進めてもらえると、とても助かります。もちろん大会の進行や他の選手との兼ね合いもあると思うので、可能な範囲での希望です。

小林さん

私は剣道の世界しか知らなかったので、初めてTリーグを観た時に卓球のプロリーグの規模が小さいと感じました。卓球は人気の部活で、学生の競技人口は多いのに、プロの試合に興味を持つ人が少ないのはどうしてなのでしょうか? カグヤガールズのようなプロチームの下部組織が増えて、プロを目指す子供たちがもっと増えたらいいのに。

福留さん

いつかTリーグがテレビで放送されるくらい卓球が盛り上がるとうれしいですね。

奥さん

本当に。ローカル局やBSではなく、石川県でも観られる全国放送でお願いしたいです。ひなたはオリンピックなどで卓球の放送があると、録画して繰り返し観る子なので。

小林さん

テレビ放送があれば卓球に興味を持つ人が世代を問わず増えるでしょうね。テレビの影響だと思うのですが、うちの子が「卓球やってます」と言うと、「将来は愛ちゃんみたいになるの?」ってよく言われるんですよ。卓球というと愛ちゃんを一番に思い浮かべる人がいまだに多いのかな。現役には早田ひなさんみたいに素敵な選手がいっぱいいるのに。

卓球レディース

日本の現役選手の名前がもっと世の中に浸透してほしいですね。そこは私も同じ思いですが、一方でトップ選手だけが卓球の顔である必要はないと思います。カグヤガールズも若さ溢れるエネルギーと卓球に対する情熱で、世の中に卓球を広めるアイコンになれる存在じゃないですか。卓球母の愛情あふれるサポートでぜひカグヤガールズを誰からも愛される選手に育て上げてください(^_-)-☆

カグヤガールズ卓球母まとめ

■プロとの練習でモチベUP+仲間との練習で切磋琢磨=うまくなるしかない
■卓球少女愛ちゃんの時代から卓球少女カグヤガールズの時代へ令和が動く