「Asueアリーナ大阪」がインターハイの表情に!
ブログ
ブログ
こちらは『卓球レディース』編集長の西村が、NOルールで綴る馬鹿馬鹿しい卓球日記です。8月13日に開幕した卓球インターハイ2026。Asueアリーナ大阪での熱戦を観に行ってきました!
大阪を代表する大型体育館・Asueアリーナ大阪。
大阪メトロ中央線「朝潮橋」の改札口を出たところで、「あれっ? Asueアリーナどっちだっけ?」と左右をキョロキョロする人がいますが、四の五の言わず、大勢の人の流れに身を任せて進んでいくと到着するところがその場所です。
私はこの体育館が「丸善インテックアリーナ大阪」と呼ばれていた云十年前からお世話になっておりました。子供が幼い頃は、その敷地にある八幡屋公園に遊びに行ったり、こちらの体操教室に連れていったり、親子でほのぼのとした時間を過ごさせていただきました。
ところが、私がレディースになると、この和みの場は一転して戦場に。
かつて、草木の彩りを愛でながらピクニックを楽しんだ八幡屋公園は、Asueアリーナへと歩を進めるためだけの通り道に。ずんずんずんとまっすぐ入口に向かって。景色を眺めて季節を感じる余裕なんてありません。
そして、Asueアリーナへ入場すると、廊下はアップのためのランニングコースに。小学生の頃、先生に「廊下を走るな!」とあれだけ注意されたのにもかかわらず、会場へ急いで向かうふりをして、小走りでアップします。そんな人はほかにいないだろうから、駅から会場までを短距離レースになぞらえたら、おそらくこの競技だけは優勝でしょう。
さて、そんなAsueアリーナへのおひとり短距離レースで、私は最速記録を打ち出しました。8月13日、インターハイ初日です。今年は同卓球大会が大阪開催ということで、私も初めてのインターハイ観戦に何カ月も前からワクワク。当日は、これまで培ったAsueアリーナへの移動力を生かし、最短距離で、最短時間で到達できたことを誇りに思います。
朝に仕事をひとつ片付けてから向かい、着いたのは第1試合がちょうど始まった頃。インハイスタートにもかかわらず、すでに会場のボルテージは最高潮に達していました。選手の気持ちのこもった一本と、それを見たベンチの盛り上がり。その膨大なエネルギーが会場からはみ出るほど、大きくうねっていたのです。この日のアリーナの重厚な扉は、指一本で軽く開く気がしたのは私だけでしょうか。
私はその覇気に押されて、会場の隅にある後ろの方のベンチに座りました。もちろん、事前に注目すべき対戦カードは調べて行ったのですが、会場に入るとそんなことはどうでもよくなりました。欲張りかもしれませんが、すべての試合を遠くから眺めたくなったのです。
インハイに出る子は、そのほとんどが幼い頃から卓球一筋で育ってきているはずです。顔よりもラケットの方が大きな時から、パタパタとラケットをふって、スイングと同時にこけて。フォームにならない状態から10年以上の時をかけて磨き上げた美しく秀逸なドライブ。コーチに何万回と注意されながら、何万回と修正を重ねてきたはずなのに、インターハイの大舞台では入る、入らない……。
その切ない一本に触れるたびに、応援する側は心を大きく揺さぶられます。ここで言う応援側とはチームや監督だけではありません。この舞台に立つひとりひとりの選手を育ててきた親御さんやかつてのコーチ、かつての学校やかつてのクラブチームのOBOG、かつての練習仲間など。十数年という刹那、子供なら永遠とも感じる時間に、卓球という接点で交差した人たちがみんな見守っていました。
この大舞台で魅せる選手たちの完成された技術。その可憐な流し、不意をつくミート、思い切ったチキータ。その技術はいつ、誰に教わったものでしょうか。もしかすると、私の前の席に座り、9オールに手を合わせ、肩を震わせているこの人から教わった技術かもしれません。
この大舞台のプレッシャーを跳ね返す選手たちの鼓舞。胸に手をあて「大丈夫」と心を落ち着かせる、こぶしをあげて「ヨー」と声を上げる。その所作はどこで身につけたものでしょうか。もしかすると、会場席から身を乗り出し、一緒になってこぶしを掲げ「ヨー」と叫んでいる、この他学生たちと練習を通して身につけたものかもしれません。
そんなことを考えると、コートに立つ選手だけでなく、この会場にいる人たち全員が戦っていて、戦ってきて、その長年の歴史に決着をつけようとする意気込みが感じられました。
そう、コートに立つのは一人だけれど、時間は今を切り取っているけれど……、
選手の顔は会場で静かに祈りを捧げるお母さんに似ているから。
選手のフォームは小さい頃から卓球を教えてきたお父さんに似ているから。
あなたの卓球は、あなたのインターハイは、あなた一人のものじゃない。
あなたは県代表で、あなたは大切な人たちの代表。
あなたはみんな。その誇らしい姿にこそ金メダルを捧げたい。