挑戦には失敗がつきもの。恐れていては何もはじまらない。大切なのはチャレンジ精神です。卓球アップサイクルでおなじみの山崎さんにも失敗作品があるのだとか。その汗と涙がしみ込んだ気合のボツネタを見せてもらいました。

なぜ、そこに手を出した??? 山崎さんのチャレンジ精神は金メダル級


卓球レディースHPをオープンして以来、私はラバーの高騰や割れピンの増加に警鐘を鳴らしてきました。そして、自分なりに考えた卓球用具のリサイクル法を提案してきました。
その記事がこちら↓

https://takkyuu-ladies.com/goods/tool/ball/

この記事を見て、「なるほど! こんなリサイクル方法があったのか」と目から鱗を落とした人はいたでしょうか??? 私が考えたリサイクル作品はおそらく出オチで終わったと思われます。

なぜなら、私は手先が不器用だから。誰かから「素敵、うちに飾りたい!」なんて感動してもらえる作品をこの世に残せるはずがありません。このさき、個人レッスンにどれだけお金をつぎ込んでも、ずっと台上が雑い女のままでしょう。

だから、山崎氏のアップサイクル作品を始めてみた時は、とても器用な方だとお見受けしたんですよね。あっ、人物の紹介を飛ばして失礼。でも卓人のみなさんはご存じですよね。卓球界の山崎氏とは、山崎智音さん。芸能界のけんとではなく、こっちの智音(ちおん)さんです。介護と卓球コーチのお仕事を両立しながら、卓球のアップサイクル事業に精力的に取り組まれています。

「定期的な交換により捨てられてしまうラバー、ルールの改変により着られなくなるユニフォーム。これらを捨てるのではなく、違う方向に生かすことはできないか?」と考えた山崎さんは次々とアップサイクル作品をリリース。その数は3年で50種類。雑貨店や100円ショップで常にトレンドアイテムをチェックしているため、そのアイデアはつきないのだとか。ならば、アイデア倒れでボツになってしまった作品もあるはず! ということで、今回はさまざまな理由で人目に触れないまま終わっていったボツネタを披露してもらうことにしました。どれもアイデアが良いだけに、本当にもったいない。この場を借りて手を合わせます。南無阿弥陀仏。

人類史上初の試みは、試みだけで終わった
紙×布のリンフォートコインケース

ティバーのロゴを前面に押し出した小銭入れ。赤と黒のコントラストが目を引くデザイン性の高い逸品だ。布製と見間違える印象だが、ラバーのパッケージを使っているため、素材はただの厚紙。アイスピックで紙に穴を開け、糸を通し、チャックを縫い合わせたという労力には脱帽するが、やはり紙と布は相性が悪い。うっかり洗濯機に入れてしまったら、お母さんにどれだけ怒られることだろう。なんとなく先が読めて、人類が挑戦しなかった組み合わせに、敢えてトライした前向きな姿勢に拍手を送りたい。


水やりムズい。じょうろを持つ手が震える
GTTガーデンピック

ベランダにある植木の緑に癒やされる朝のひととき。そのガーデンピックが大好きな卓球にまつわるものだったら……。想像しただけでウキウキとした気分になる。黒、銀、黒、銀と4枚の紙を重ね、切り抜いて色と形が出るように工夫されたダルマのピックは、もはや芸術作品。だからこそ、残念でならない。水をやると一瞬にして作品がダメになってしまうからだ。水を与えて元気になるのは草木花だけ、紙のパッケージでできたピックはしなびてしまう。やはり紙は水とも合わない。


カード入れなのにカードが入らないとは何事!
ネオギャラクシアカードケース

ラバーケースを貼り合わせ、切込みを入れて作ったカードケース。紙は折れたり、よれたりするとデザインが台無しになる。そのため、一度、カードを入れたならば、二度と取り出すことのない交通系ICカード用のケースに仕上げたのだが、ぴったりとのりづけした紙に遊びはなく、カードがうまく入らない。「家庭科が一番苦手だった」という山崎さんがケースの端を丁寧に縫いあげたにもかかわらずボツになるなんて。

用具の廃材はアートに昇華して

ここまでの紹介で、山崎さんのボツ作品には共通点があることにお気づきだろう。そう、山崎さんは耐久性に欠ける“紙”を活用して失敗しているのだ。それならば、ラバーのパッケージをなんとかするのは控えた方がよさそうだが……。

「素材を分解して別の物に作り変えるリサイクルに興味はありません。廃材の色やデザインを生かして、卓球人がひと目で卓球の廃材とわかる作品を手掛けたい。そして、その作品を見た一般の人が、卓球をはじめるきっかけにもなればうれしい」と語る山崎さん。

なるほど、であればラバーのパッケージは卓球人にとってなじみ深く、印象の濃いもの。これからもアップサイクルの材料として外せませんね。「これからは芸術性を追求した作品にもチャレンジしていきたい」と目を輝かせる山崎さん。その挑戦にこれからも注目です。

山崎智音
1997年生まれ。小学校2年生の時に日産ジュニアクラブで卓球を始める。全日本選手権カデットの部に神川県代表として出場。専修大学北上高校、日本体育大学を経て、介護業界へ。アマテラス卓球場で卓球の指導もしながら、2023年、卓球のアップサイクル事業をスタート。ユニフォームで作ったぬいぐるみやラケットのグリップでできたキーホルダーなど、50種類以上の作品を世に出す。