こちらは『卓球レディース』編集長の西村が、NOルールで綴る馬鹿馬鹿しい卓球日記です。今回のテーマは婚活。婚活女子のみなさん。卓球場は出会いの穴場ですよ!
昨年の始まり、婚活中のアラフォー女性に「コンパ」のセッティングを頼まれました。「なんで私が???」。友達もいない、人望もない、積極性もない、社交性もない(書き連ねると辛くなりますね……)。とにかく、人を見る目のなさに驚いて即答できませんでした。それからです、私が“もったいないお化け”に憑かれるようになったのは(©公共広告機構)。
美人で聡明で性格もいい、こんなにも私と真逆の人を放っておいて世のためになるのだろうか? 夜、眠りにつくと、市原悦子の「もったいねぇ~」のおどろおどろしい声が追いかけてきます。才能のある選手にチャンスを与えるのがコーチの役目なら、才媛に出会いのチャンスを与えるのは世話好きのおばちゃんの役目ではないかと使命感も芽を出す始末。卓球の練習中もエエ人おらんかとアラフォー男性を物色し、目の前の一球に集中できなくなったので、目の前にいた人脈豊富な既婚男性に思い切って相談しました。「かくかくしかじか、こんなに素敵な女性がいる! コンパを開いてあげたい! 男性を集めてもらえないですか???」。それまで溜め込んでいた思いが一気に溢れ、我ながらアツく熱く厚くお願いしました。それに対し返ってきた言葉は「僕が出ましょうか?(テヘ)」……。真剣さが伝わらなかったことに落胆しました。
卓球人の世話好きをなめたらアカン
10分後、私は別の男性とフォアラリーをしていました。卓球仲間のKさんです。普段、卓球の話しかしないKさんが、肩を落とした私を見て口火を切りました。「あの……さっき、話が聞こえたんですけど、よかったら会社のアラフォー連中を紹介しましょうか?」。カッキーン!!! 私は天井に刺さったら二度と抜けないほどの強打でホームランを打ちました。「いいんですか?? ぜひお願いします!!」私はこの契約を逃したら会社に帰れない営業マンよろしくの食い気味でKさんとコンパの約束をコンバージョンしました。
その後のラリーの軽快さったら♬ 肩の力が抜けた私は頭の中に流れる『LA・LA・LA LOVE SONG』にのせて、リズムよくPingPong。すると横からナオミ・キャンベルのような力みのないコーラスが入ってきました。「Hさんどうや?」。声のする方を見ると、私たちの左側の台でシニアの男女が「Hさんどうや? あの人エエ人や」とフォア&会話のラリーを両立していました。私の話を横で聞いて、世話を焼こうとしてくれたのです。ピッカーン!!! 世知辛い世の中に射す一筋の光。卓球に年齢は関係ありません。シニアの方でも世代間を超えた卓球仲間がいて、その豊富なライブラリーにはアラフォー男性も揃っている。しかも閲覧可! とわかった私は足取り軽く卓球場の階段を降りてジュースを買いに行きました。
その途中、子供と卓球をしに来たお父さんとバッティング。お父さんは私をつかまえて「Hさんはダメですよ。引っ越されるから」と突然忠告してきました。「えっ、何のこと?」たじろぐ私にお父さんは続けて「さっきの話聞いてたんです。なんだったら、仕事でつき合いのあるアラフォー男性に声をかけましょうか?」えええええ……。あの、卓球やってらっしゃる方って、どれだけ世話好きが多いんですか。これを読んでいる婚活中のあなた。悪いことは言いません。今すぐ卓球場に来てください。王子さまは星にはいません。星に願っても現れません。今すぐ、近くの卓球場をググって世話好きの卓球人のお世話になってください。披露宴のスピーチで「新郎新婦はマッチングサイトで出会い~」よりも「卓球場で出会い~」と紹介される方が年老いた親戚に好印象を与えられます。ただし、結婚後「えっ、卓球人と結婚したら、こんなにラバー代かかるの?」というクレームだけはお控え願います。