こちらは『卓球レディース』編集長の西村が、NOルールで綴る馬鹿馬鹿しい卓球日記です。3月6日イオンモール茨木で開催された能登半島地震復興支援チャリティイベント「金沢ポートVST.T彩たま」のTリーグの模様をレポートします!

第一マッチ/チョスンミン・五十嵐史弥×小林広夢・曽根翔

第一マッチはチョスンミン・五十嵐史弥×小林広夢・曽根翔。昨日、木下マイスター東京戦で、ダブルス巧者である大島 祐哉・篠塚 大登ペアに勝って勢いに乗るチョ・五十嵐ペアは、ゲーム序盤から鋭いボールを走らせた。五十嵐がドライブを決めればチョがチキータを決める。五十嵐のパワードライブを彩たま組がとめきれない、ノータッチという場面が何度も見られた。最後も五十嵐の力強いフォアドライブが決まり、ゲームカウント2-0で金沢ポートが第一マッチを獲る。

第二マッチ/松平 健太×木造勇人

第二マッチは松平 健太×木造勇人。今回は金沢ポートのホームで実現できなかった代替試合、能登半島地震復興支援チャリティイベントということもあり、石川県出身の松平のプレーに熱い想いがたぎる。第一ゲーム、松平はサービスエース2本を決め、その後もポイントを先行していったが、松平の攻撃を冷静にしのぎ続けた木造が10‐10に追いつき、最後は木造がチキータを決めて第一ゲームを獲る。

第二ゲームは序盤、一進一退の攻防。木造が6-5で一本リードした時点で金沢ポート側がタイムアウトをとったが、その後、戦術を替えた松平のバックサービスがレットに。流れを変えることができず、木造は松平に1点も与えず、打点の早いバックハンドと鋭いフォアハンドでゲームを連取する。

第三ゲーム、このままでは終われない松平が、ギアを上げてきた木造のバックハンドとフォアハンドの強烈な攻撃を5連続で止める鉄壁の場面を見せた。最後はバックハンドを逆サイドに流して松平が1点を返す。流れは松平にあるように思えたが、迎えた最終ゲームは、10-9でリードする松平がまさかのサービスミス。ラストは松平のサービスを木造が思い切りの良いドライブで攻撃し10-11、木造がラスト2本をとり勝利を収めた。

第三マッチ/五十嵐史弥×曽根翔

第三マッチは五十嵐史弥×曽根翔。第一ゲームは曽根の力強いバックハンドから始まり、金沢の大砲と呼ばれる五十嵐がおされる雰囲気。五十嵐はサービスとレシーブのミスも目立ち、最後は曽根のサービスがネットインというアンラッキーも重なって、1-11という大差でゲームを落とす。

第一マッチのダブルスのような活気を取り戻したい五十嵐。第二ゲームは冒頭から声を出して自身を鼓舞。曽根も強気で見事なチキータを決めると、五十嵐も強烈なバックハンドで応酬。どちらも譲らない様子。五十嵐が9-8と1本リードした場面でタイムアウトをとったが、力んだのかボールをラケットの角で飛ばしてしまう。9-9、9-10と失点を許すと、ベンチのチョスンミンから「ここから」と声がかかる。その声にこたえるように豪快なラリーで10-10とおいつくも、最後は曽根のフォアハンドに負ける。

先に2ゲームとられて後がない五十嵐。会場のファンから「史弥がんば!」という声援が飛ぶ。気持ちを切り替えたのか、ミスをしても積極的にフォアドライブで攻めていく五十嵐。ラスト2本は五十嵐からのサービスとなった。1本目はサービスエースに見えたが、曽根のレシーブがエッジと判定。アンラッキーな展開だが、五十嵐はその雰囲気に引きずられず2本目を放つと、サービスエースとなり、11-9で五十嵐が1ゲームを返す。

第四ゲームは「Let’s go史弥」というファンの声援で幕が明けた。その声援に後押しされるように五十嵐の調子が上がる。タイミングの良いクロスへのナックルロングサービスも効き、五十嵐はこのゲームをとってゲームカウントは2-2に。ファンの声援はさらに増し、会場のボルテージは最高潮に。第五ゲームは五十嵐のひとり舞台と言えるほど、曽根に1本も譲らず、最後はネットインのボールを冷静にループでつなぎ11-6、ゲームカウント3-2で大逆転勝利を果たす。

第四マッチ/チェンジンチー×英田理志

第四マッチはチェンジンチー×英田理志。1-2で回ってきた彩たまの4番手英田。ここをとってVMにつなぎたいところだが、第一ゲームはチェンのボールに合わずミスが目立った。3-10から流れを変えるロングサービスは効いたが、2本連取にとどまり5-11に終わる。第二ゲームもその流れのまま、チェンが主導権を握った。チェンの質の高いドライブに英田のカットが間に合わない様子。

ところが、第三ゲームになると、英田のボールが入り出す。要所でカットを繰り出し、3球目攻撃、周り込んでのドライブでチェンを圧倒。11-5でこのゲームをとり、第四ゲームへと駒を進めた。序盤はお互い意地を見せるゲーム展開の中、タイムアウト明けの8-7からゲームが動いた。英田が得意のロングサービスでエースをとり、その後フォアとバックの強打で3点を連取。2-2のゲームオールに。ファイナルゲームは、英田が一本も失わず一気に11-6へ駆け上がる。得意のロングサービスも効き、英田がガッツポーズで試合を収めた。

VM/チョ スンミン×英田理志

VMはチョ スンミン×英田理志。第四マッチをものにした英田の勢いが止まらない。サービス、カット、ラリー、すべてにおいて得点し、多彩なプレーを見せつけながら11-0のラブゲーム。第3マッチまで勢いに乗ってきた金沢ポートの流れをひとりでせきとめ、T.T彩たまを勝利に導く偉業を成し遂げた。

ドラマティックな逆転劇に心躍る場面の多い大会だったが、なかでも私の印象に残ったのは第四試合の始まり。英田選手がコートに立ってから会場の空気が変わったように感じた。試合に入る際、心にとめる想いがあったか質問すると……。

「元日に地震があって、できなかった試合の代替試合。卓球ができることに感謝して、見に来ていただいた方に一球一球プレーを見せるということだけに集中しました」と英田選手。さらに「大学1年の時のキャプテンが、卓球時教室の子供を連れて見に来てくれた。応援の声も聞こえて力をいただいたので、簡単に負けたくなかった」とも。

大逆転勝利を見せてくれた英田選手。その最後まであきらめないプレーに勇気や希望をもらった人も多いことだろう。能登半島地震復興支援チャリティイベントは、ここから始まる未来に光を灯す大会となった。