なんだか動きが悪くなってきた、いや、元々悪かったかもしれない。そんなお悩みのある方は卓球のウォーミングアップにリズムトレーニングを取り入れてみませんか。脳の指令と身体の動きが一致すれば、動きがスムーズになるだけでなく、ボールへの対応能力がUP。「どんなタイミングのボールもへっちゃら」と言えるワンランク上の卓人になれるかも……?!

知らなかった!音に合わせて動くことの重要さ

素振り。学生の頃、大嫌いでした。理由はカッコ悪いから。私の隣で、同じ格技場を使う剣道部の友達が壁に向かって素振りをしている。その姿は凛としてカッコいいのに、私ときたら、うちわで酢飯をあおいでいるような姿。頼むから誰も見比べないでくれと、窓を閉めたのに、通りすがりの先輩が「暑い~」と言いながら開けていく。その外ではラグビー部やバスケ部が筋トレ中だというのに……。SARASHIMONO

おまけに、素振りのフォームを携えて台に入っても、初心者の私はボールがラケットに当たらない。この時点で、ラケットでボールを迎えにいきフォームを崩すか、フォームを守るかわりに一生ラケットにボールが当たらないかの二択を迫られる。卓球は想像以上に難しいスポーツであることを素振りに思い知らされたのでした。

そもそも、あの素振りは意味があったのか? 今の学生は部活で素振りをするのか? と疑問を抱いていたら、スポーツリズムトレーニングのインストラクターの佐々木倫子さんと出会いました。「どのスポーツも形の練習は必ずやります。ところが、どのタイミングで、どんなリズムでその動きを繰り出すかという練習はやらないところがほとんど。身に着けた動きをスポーツの中でうまく表現できない人が増えています」と倫子さん。

なるほど、だから初心者の頃は空振りが多かったのかと合点がいきました。続けて、実戦でどんなボールにも対応するには、脳内にリズムを形成するトレーニングが必要だと教えてくれました。

「運動は形とリズムから成ります。シンプルなフォームでも、手と足が違うリズムを刻むのは難しいですよね。ところが、音に合わせて繰り返すうちに、思い通りに動けるようになった経験はありませんか? これは何度も続けるうちに、頭のイメージと体の動きが一致したからです。このように多様な動きをリズムと共にインプットし、脳のサイクルを回してアウトプットするトレーニングを行えば、相手やボールの動きに自分のタイミングを合わせられるようになります。筋肉の弛緩と収縮のタイミングもリズミカルになり、次の動作への移動がスムーズになりますので、ウォーミングアップにぜひ取り入れてください」とのこと。

ホリプロオーディション時の井森美幸なみにリズム感のない私には絶対必要なトレーニングだと直感しました。8ビートを聴いて育った中年世代のみなさん。私と一緒にリズムから卓球を見直しませんか?

リズムトレーニングのポイント

1)スタートは指導者の合図に合わせる

誰かが発した音に合わせることで、外的な要素に自分の動きを合わせられるようになります。卓球なら、相手の動きやボールにタイミングを合わせられるようになり、反対に相手のリズムを崩すこともできるようになります。

2)リズムを少しずつ細かくとるようにする

4拍子のリズムで動けるようになれば、次は8拍子にチャレンジ。リズムを細かく刻めるようになると、動きの精度が上がり、動作がなめらかになります。筋肉の弛緩と収縮のタイミングも速くなり、次への動作がスムーズに。

3)失敗しても気にせず繰り返して

最初は音に合わせて反応することが難しいかもしれません。目的は脳にインプットした情報(動き)を何度も繰り返しアウトプットすることなので、失敗を気にせず何度もチャレンジ。脳のサイクルを回しましょう。

ビートの効いた音楽を聴きながらLet‘s 素振り

今回、使用した曲のテンポは115BPM とのこと。このスピード感でお好みの曲を選んでもかまいません。トレーニングはどの競技にも使えるベーシックなものですが、素振りやフットワークをリズムに合わせて行うのも効果があるのだとか。その際は、戻りまでも一連の動きに含めると、次の動作がスムーズになるそうです。いろんなリズムに合わせる、音楽のスピードを早めるなどして、どんなタイミングのボールも拾える孫穎莎を目指しましょう!

監修 佐々木倫子

からだ改善スタジオ 笑顔工房ふれ~る代表。一般社団法人スポーツリズムトレーニング協会の公認インストラクター。脳と身体の一致はすべての競技・年代において不可欠。リズムトレーニングで身に着けられることを学び、現在では専門学校や高校陸上競技部のほか、実業団チームへの指導もおこなっている。
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