こちらは『卓球レディース』編集長の西村が、NOルールで綴る馬鹿馬鹿しい卓球日記です。卓球台の色は黒板と同じ深緑と記憶している世代に語りたい、卓球台のカラーの変遷。

卓球台の色は深海か新緑か?

先日、スタートアップ企業の交流会で私の事業を発表する機会がありました。プレゼンの資料に卓球台の画像を載せたところ、あとで参加者から「今の卓球台の色ってブルーなんですね」とノリノリで話しかけられました。

えっ? 

すると、他の参加者が「私も驚きました。昔は黒板みたいな深い緑色だったのに」とノリノリノリで話に乗っかってきました。

えっ、えっ? 

すると、すると、また別の参加者が「卓球も進化してるんですね」とご本人なりに気の利いたセリフでまとめにかかってきました。

えっ、えっ、えーーーーーーー??? 

卓球台の色はブルー。ここにおられる方々はその常識を知らないのか、それとも、それは常識ではないのか……。

と~き~を~かける少女(古い)じゃないですけど、私は時代をさかのぼって考えました。

「私が卓球を始めた90年代初頭にはすでにブルーだったし、なんだったらピン球はオレンジになって、気が付きゃ白に戻ってたし……」。

ブルー×オレンジ×ホワイトの虎が私の頭の中をぐるぐると回って、最後はバターに。そんくらい考えてようやく答えが出ました。

ああ、中高年の方々は卓球台の色が深緑色で時が止まっているんだ。私が思っているほど世間様は卓球のことを知らないんだなって。

私が出かける前に必ず夫が「おまえが思ってるほど、周りの人は卓球に興味がないから、卓球の話は絶対にするなよ」と口止めされる理由がようやくわかりましたよ。

世界一空気が読めない女の私は自分の話=卓球の話をしてしまいがち。一人で盛り上がって、周りがどんどん引いていくのがなんとなくわかる。そんなときでも立ち止まることはなかったもんで。

さらにおばはん化して、空気が読めなくなる前に、この禁則に気づいて本当によかった。二度と卓球の話を膨らまさないでおこう。そう心に誓いました。

数カ月後、次のプレゼン。

私は再び壇上に立ち、誇らしげに発表していました。スクリーンに映し出されているのはこれまた卓球台。カラーは深緑→ブルー→ブラックと並びます。参加者のみなさんは美しく洗練されたブラックの台にため息をついておりました。さらに、卓球のプレゼンを続けて2回した私のしつこさに深いため息をついておりました。

発表が終わると、「いや~、ブラックの台があるなんて、知りませんでした。僕は元卓球部だけど」とか、「勉強になりました。卓球やってみようという気になりました」とか、「卓球って根暗のイメージがあったけど、おしゃれになってたんですね、すみません」とか&とか。

卓球に対してポジティブなご感想をいただきました。卓球のイメージアップと情報のアップデートに貢献できてよかったです。

参加者のみなさんの頭の中では今ごろ、モスグリーン×ブルー×ブラックの虎がぐるぐると回っていることでしょう。そして、それらが溶け合ってバターになった頃、ふんわりとした甘い香りに誘われて、卓球場に訪れる人が現れるに違いない。

卓球の話は二度と膨らまさないと誓った直後に、リマインドのプレゼンをして本当によかった。世界一空気が読めないのか読まないのか、私はどうしようもないおばはんと化したようです。