こちらは『卓球レディース』編集長の西村が、NOルールで綴る馬鹿馬鹿しい卓球日記です。今回はブラジル代表のカルデラノ選手の戦術について。イケメンはどんな表情も愛おしい♡
「『卓球レディース』はプロ選手情報一切なし」をうたい文句にしております。これはあくまでも、プロの試合の開催日や結果といったデータを提供するサイトではないという意味。今後は中級者かつ中年のおばちゃんの視点でプロ選手のことを語ることがございますのでご容赦ください。
さてブログに初めてしたためるトップ選手は、ブラジルの英雄・ウーゴ・カルデラノ。メンズノンノで初代専属モデルとして活躍していた頃のマークパンサーをさらに濃く3D化した顔立ち。卓球界きってのイケているメンです。地理の授業で「関東平野」という単語を覚えたイキリ系男子が、顔の平たい女子に名前+平野というあだ名をつける(EX西村平野)。そんな地球の反対側の屈辱とは無縁の世界で生き、卓球に精進されたことと思います。
彼のプレーに衝撃を受けたのは、2017年のチェコ、そして2018年のカタールオープン。どちらも張本智和戦でのこと。試合映像では両者の顔へのカメラ寄りが多かったため、カルデラノ選手の策に気づくきっかけになりました。それは恐るべき顔面戦術。ボールタッチが柔らかいカルデラノ選手は表情筋もフレキシブル。サーブを出すときは、大きな瞳を寄せ、鼻を詰まらせ、口角を上げる。試合の序盤は流して見ていられましたが、途中からイエローカードを出したい衝動にかられました。なぜなら、カルデラノ選手は試合の局面になると顔に力が入る。それが意図的なのかは知りませんが、ペナルティ・ワッキーの十八番「芝刈り機」の顔芸を彷彿させました。4,178平方メートルの芝を瞬時に刈り込む強烈なパワー。映像を見ながら思わず「アカンって!!!」と叫んだ私。案の定、張本選手はレシーブミス。カルデラノ選手の顔面に気圧されたようにしか映りません。
張本選手からのサービスに移ると、カルデラノ選手は腰を落とし、上半身を台の下へと沈ませて構えます。182センチと長身にもかかわらず、高さ76センチの台に顔半分しか出ない驚異のスクワット力。そしてサービスが放たれる瞬間に上体を起こし、台の下に隠していた大きな口を露わにするのです。それは、まるでUSJの人気アトラクション・ジョーズのよう。ライフルを持ったツアーのお兄さんもボートから落ちる勢いです。案の定、張本選手はその空気に飲み込まれてサーブミス。異質のカットマンとの試合では「台の下にラケットが隠れて、どちらのラバーで切ったかわからない」なんてことはありますが、相手を惑わす戦術を顔でやってのけるとは(アッパレ)。
上級者から見れば、張本選手のサーブレシーブのミスはそのように単純なことではなく、理由は明らかでしょう。(テレビ東京「卓球ジャパン」のDEEPな解説で答え合わせを)ですが、中級者の私からすると、カルデラノ選手の表情の巧みさに大舞台に立たされた少年が翻弄されているようにしか見えない!!!
高校時代、OBのA先輩から「顔を意識しろ」と注意されたことがあります。動画「あっちむいてほいサーブ」のように、右を見ながら左にサーブ、レシーブを出すという意味かと思っていたら「そういうことじゃない。卓球はメンタルスポーツだから、腕がないなら表情で相手を崩せ」と言われました。その意味がわからぬまま引退を迎えましたが、もしや、カルデラノ選手のような顔芸をしろという意味だったのでは? だとしたら、A先輩の戦術は30年後の未来、そして世界に通じるものだったのかもしれません。いずれにせよ、顔の平たい族代表の私の目鼻立ちでは遂行できない戦術です。
チェコ、カタールオープンと檜舞台で戦い抜いた張本選手はこの時まだ中学生。顔面までを戦術に含めた場合、ひと皮むけるのはまだ先と感じました。パリ五輪での張本選手の表情に期待しましょう。私の浅~い、いや、ある意味DEEPな試合解説にお付き合いくださり、ありがとうございました。