こちらは『卓球レディース』編集長の西村が、NOルールで綴る馬鹿馬鹿しい卓球日記です。東京オリンピックで卓球男子団体銅メダル獲得おめでとうございます! 水谷選手の今後が気になる……。
最後は水谷選手が決めて卓球男子団体銅メダル獲得!
東京オリンピックの卓球男子団体、水谷選手、丹羽選手、張本選手、銅メダル獲得おめでとうございます。2大会連続のメダル獲得。卓球好きのおばちゃんの気持ちは「うれしい!たのしい!大好き!」だけではありません。「かなしい!さびしい!大好き!」もあるのです。だって、長年にわたり卓球界を牽引してきた水谷選手が現役を引退するかもしれないから。準決勝のドイツ戦のあと、水谷選手がインタビューで「泣いても笑っても最後の一戦」と3位決定戦に向けての意気込みを語ったとき。東京オリンピックで日本男子の最後の試合と、オリンピックで水谷選手の最後の試合という二つの思いが胸に届きました。どちらの思いが強いか、それとも一方だけなのか。ご本人に尋ねてみないとわかりませんが、その言葉に選手ではない私まで奮い立ちました。「全集中で応援しよう!」と。
そして迎えた3位決定戦。銅メダルを賭けた韓国との戦い。第4試合は2-1と日本が1ゲームリードするなかで、水谷隼選手は張禹珍選手と戦うことになりました。水谷選手にとって現役最後の試合になるかもしれないと思うと、勝ち負けなんてどうでもいい。一本一本をしっかりと目に焼き付けるため、画面を凝視しておりました。印象的だったのは第三ゲームの序盤、水谷選手が三球目攻撃で魅せた一回転するほどの振り切ったドライブ。緊張する場面での思い切りの良さは観ている方も気持ちがいい。私はテレビの前で「チョレイ!」と雄たけびを上げましたが、水谷選手は声を出さず、その後も黙々と点を重ねました。最後は相手のミドルにドライブを打ち込み3-0でストレート勝利。過去の国際大会では2敗していた韓国の若手にオリンピックの舞台でリベンジが叶いました。
水谷選手に勝ってほしい。願いは現実に!
待ちに待った自国開催、TOKYOのホーム会場。無観客とはいえ関係者が見守るなか、水谷選手はあらゆる人を惹きつけていたと思います。その研ぎ澄まされた集中力で。他国であっても、対戦国であっても。会場にいる人も、テレビの向こう側の人も。卓球ファンであっても、柔道ファンであっても。口には出さなくても、あることに気づかなくても。五輪後の引退を宣言している水谷選手に勝ってほしいという思いが、すべての人の心にわずかに存在した。その思いのかけらが集まって、プレッシャーという重い塊になっても、「任せとけ!」と言わんばかりにプレーに集中して結果を出せる。五輪の大舞台でも頼れるのが水谷選手のすごいところですよね。
1年半前、全日本選手権で水谷選手の試合を初めて観た時。水谷選手がコートに現れた瞬間、会場の雰囲気が一変したのを思い出しました。身体中から“優勝するゾ”という気合の粒子が激しく放出。一瞬で会場が満たされたのです。その時の水谷選手の電荷をプラスとすると、五輪の最終ゲームの電荷はマイナス。静かに淡々と点を重ねるたびに会場の空気が浄化されていく気がしました。レジェンドを信じて時を待つだけ。勝利の瞬間の日本中のスパークはその反動とも言えるでしょうね。
ご本人が「東京五輪が集大成~」と位置付けた通り、混合ダブルスは金メダル、男子団体は銅メダルを獲得。自ら引退の花道を飾られました。“有言実行”という四字熟語は東京2020オリンピックで活躍する水谷選手を予期して現れた言葉ではないでしょうか。 それに対して“河梁之吟”という四字熟語は、新たな道に進まれる水谷選手を見送る私がロスのあまりに探し当てた言葉です笑。水谷選手、寂しいから当分はメディアに出続けてくださいね。