2024年7月26日に開幕したパリオリンピック。卓球の日本選手は男女団体、混合ダブルス、男女シングルスに出場。その試合の感想を初中級のレディース目線で綴ります。

はじまりましたパリオリンピック!

注目の競技はも・ち・ろ・ん卓球ですよね。日本選手のトップバッターは、はりひなペアが出場する混合ダブルスだったんだけど、あれ、1回戦の対戦国・北朝鮮ペア、むっちゃ強いやん? 女性のキム・クンヨン選手は粒高使いだったんですね。

世界卓球で中国女子がインド女子の粒に泣かされたことを考えると、第二シードの安心感なんてあったもんじゃない。安定感のある粒高使いほどの怖い存在はないもんでね。私の周りにもダブルス上手な粒高レディースはわんさかおりますが、張本智和選手の全力フォアドライブを前陣で粒高ブロックできる女子は、私と同じ光浦靖子ショートヘアのあの娘しかいない。初めて見たときに、粒高よりも「えっ、私と同じ髪型やん」という衝撃がデカかったもので。

そして惜しくも、はりひなペアは初戦敗退という結果に。東京五輪に続く金メダルを期待されていたから、国際試合に出ない謎のペアに負けるなんて日本中の人が驚いたでしょうね。とはいえ、準決勝戦で香港・黄鎮廷のペンドライブも卓球台の前でピタッとボールを止めていたキム選手を見ると日本に勝ったのはまぐれじゃない。波のように押し寄せる一撃に小柄な女子がぶっ飛ばないなんて。壁になるなんて。店主のおばちゃんが慣れた手つきで蚊をしとめ、ぶんぶん元気に飛び回る生命を一瞬で亡きものにする。そんな行きつけの居酒屋での真夏の光景が思い出されました。

さて翌日、ひなちゃん大丈夫かなと心配しておりましたが、シングルスの初戦はイタリアの選手に4-0の圧勝でしたね。私はすべての煩悩が取り払われた表情のことを“スン”と名付けているのですが、シングルス初戦時の早田選手の表情は、全集中のそれ(スン)だった。初めてのオリンピック、高揚感に満ちた混合ダブルス前の早田選手の表情が一夜明けて一変していたのです。

ちなみに“スン”は、ホカバなどジュニアの試合でよくみられる表情のひとつ。子供はメンタルが不安定だから、試合で負けかけると卓球少女愛ちゃんよろしく、お母さんの方を見たり、泣き出したり。「なんで入らないの」「なんでサーブミスするの」と騒ぎまくり。わが子もそうです。けれど、泣きたいだけ泣いて負の感情をすべて出し切ると、顔が“スン”と無の表情に。よく言うと悟りを開いた仏のようになる。すると、急に目の前の一本一本に集中しだすから不思議。レベルは天と地の差ですが、察するに早田選手は切り替えられたんだと思います。ここからシングルス・団体戦と期待したいですね。

一方、北朝鮮ペアは29日の時点で準決勝まですすみました。そして、香港の黄鎮廷・杜凱琹ペアに4-2で勝利。先ほど触れたキム選手のブロック、そしてペアのイ・ジョンシク選手の巧みなドライブが対香港戦でも際立っていました。北朝鮮ペアは決勝進出が決まった瞬間、イ選手が感極まってキム選手を抱き上げるシーンも。あの時の嬉しくも恥ずかしそうな2人の表情。東京五輪で水谷選手が伊藤選手に抱き着いたシーンをほうふつさせて、なんだか胸が熱くなりました。国際舞台とは離れた場所で、2人の間に、そして各々にいろんな重圧と葛藤のドラマがあったんだと思います。そのあと、ベンチコーチとも抱き合って、3人にしかわからない感動をわかちあっていました。あんな姿を見せられたら国を越えて応援したくなる。中国との決勝戦、日本のぶんまで頑張ってほしいですね。