手軽にできる顔のストレッチでレディース世代の目の悩みを解決!
地元の試合で朝から夕方まで真剣勝負を繰り広げた卓球レディースのみなさん。ねぎらいの言葉はもちろんあります。「お・つ・か・れ目さま」。図星でしょう? 一日中、あの小さな白球を追い続けたんです。目は疲労困憊に違いありません。「試合が進むごとに玉がかすんで見える」「審判の時、ボールを目で追えない」なんて、この世代のプレーヤーは皆ボヤいていますよ。
「ヘルニアや五十肩は気合いと根性で乗りきる」なんて強気の人も、目の健康は別物。そりゃそうです。動体視力が落ちると、感覚のみに頼ったプレーになるので、卓球自体がおもしろくなくなりますもんね。ベストな視力状態でいつでも試合に挑める。そんな理想を求めて、フェイスエクササイズの専門家・樋口まりさんにケアの方法を伺いました。
毎朝の習慣にしたい手軽な体操で動体視力UP!
動体視力は、スポーツをするうえで欠かせない眼の能力です。特に卓球は、時速100キロ以上で向かってくる球をとらえるので、目を動かすための筋力(動体視力)が極めて重要になります。
ところが、レディース世代はこの筋肉が衰えている方がほとんど。試合になると、ボールをしっかり見ようと力むから余計に疲れてしまうのでしょう。ここぞという場面でベストなパフォーマンスを望むなら、顔のストレッチで目の周りの筋肉を緩めて鍛えることが大切です。
今回ご紹介するのは表情筋に働きかける方法。表情筋は鍛えても肥大せずに引き締まる遅筋でできています。エクササイズで顔がマッチョになることはありませんのでご安心を。時間がない方でも手軽にできる内容なので、ぜひ毎日の習慣に取り入れてください。
↑目の周りを覆う眼輪筋は、表情を作る顔全体の筋肉とつながっています。硬く縮んだ筋肉は疲労や不調のもと。筋肉をほぐして、血行を促す体操をしましょう。
まず、顔の筋肉をギューッと中央に寄せ、力を入れたまま8カウントキープ。そのあと、パーッと花びらが開くようなイメージで筋肉を広げ、目も鼻も口もすべて開きます。その状態で再び8カウントキープ。
いつでもできる手軽な体操ですが、朝のスキンケア後がオススメ。老廃物が排出されて、肌が見違えますよ。
↑口の周りの筋肉もほぐしておきましょう。「あ・い・う・え・お」と順番に口を開きます。この時、筋肉を意識して一語一語丁寧に開くことが大切。
「あ」は大きく縦に、「い」は口角を耳の方へ引く意識、「う」は口をとがらせ、「え」は口の中に指が一本入る程度に開き、口角を横に引きます。「お」は縦に3本の指が入るくらいに開きましょう。
最後は「べー」という表情。舌を根元から地面に刺すイメージで突き出してください。舌を意識的に動かすことで、唾液の分泌量が増えて、殺菌作用も期待できます。
午後の試合に目疲れを持ち越さない、隙間時間にできるリセット術とは?
プレー中は目を動かす範囲が限られます。筋肉が縮んだ状態なので、試合が進むにつれ、目の疲れがたまる方も多いでしょう。
そんな時はゲームの合間にできる眼球運動がおすすめです。目を上下左右に動かす、額に手をあてながら見開くなどの単純な運動でも効果は絶大。終わった後は、顔の血行が良くなり、試合の緊張もほぐれます。次の試合に向けて心も体もリフレッシュしたい方はぜひ!
↑顔は正面に向けたまま。眼球のみをゆっくりと上下左右に動かします。終わったら、目を10秒ほど閉じてリラックス。これを5回繰り返します。
人差し指を目線で追いかけるようにすると、顔が固定されるので◎ 眼球運動は凝り固まった筋肉の可動域を広げます。老廃物の排出と血流を促すので、目元がスッキリしますよ。
↑同じく、顔は正面に向けたままで、おでこの筋肉が上がらないように両手でブロックします。息を吐きながら目を大きく見開き8カウントキープ。この時、額でまぶたを持ち上げないように注意しましょう。
そのあとは息を吸って、吐きながらギューッと目を閉じます。目の奥の筋肉で眼球を後ろに引っ張るイメージ。滞っていた血液とリンパが一気に流れて、目の疲れが吹き飛びますよ。
バスタイムのツボ押しで一日の目の疲れを癒やす!
終日試合で酷使した目をいやすために、一日の終わりは顔のツボ押しで締めくくりましょう。1の印堂から7の攅竹(さんちく)まで7個のツボを図にまとめました。1ヵ所につき3~4回。順番通りに息を吐きながら人差し指で押していきましょう。
気持ちいい痛さを目安に圧をかけます。時間がないときは4の瞳子髎(どうしりょう)と7の攅竹だけでもオッケーです。バスタイムに行うと、血行と代謝がさらによくなりますよ。
樋口先生に教わったトレーニングを1週間ほど続けてみました。朝の顔体操は、顔の筋肉がほぐれるだけでなく眠気も吹き飛びます。一日が気持ちよく始められるのがいいですね。夜のツボ押しもやりだすとハマります。指の腹でじっくり圧をかけると、肌が内側からほわっと温かくなって、目元がスッキリ。練習でラケットを握った腕の力まで抜けました。顔と全身の筋肉はつながっていると改めて実感。
手軽なので毎日のルーティーンに組み込んでほしい。それができない人も、試合の合間の眼球運動はぜひトライしてください。目が使える状態になると「よっしゃ、もうひと試合」と前向きな気分になれますから。
監修 樋口まり
2016年に英国予防機関、健康運動指導士協会公認 フェイスメソッド マスターインストラクターを取得。ハンディキャップのある方に向けた顔のトレーニングの指導や、企業で表情を豊かにするためのセミナーを行っている。オンラインで定期的に顔の体操も開催。