こちらは『卓球レディース』編集長の西村が、NOルールで綴る馬鹿馬鹿しい卓球日記です。今回はレイティングポイントが及ぼす家族への影響について。家庭内マウント合戦にも数字が指標となる時代に!

レイティングポイントは親の威厳に比例する

うちは3人+2匹(猫)の家族。全員の趣味が卓球です。そうすると何が起こるか。まず、家族の身分がレイティングポイントで決まります。亭主関白、かかあ天下といった、いにしえのマウントとは訳が違う。誰が家庭で主導権を握るか、その月の試合の結果、数字という恐ろしく明快な指標で決まるのです。とてもホラーな話ですよね。

夫が子供に「上手い人の動画を見て勉強せいっ」と注意しても、子供が「お父さん動画いっぱい見てるけど、僕よりレイティング低かったやん」と言い返したらGAME OVER。子供に口答えされぬよう夫は全身にシップを貼り中年の体にムチをうって練習に励むのですが、子供は無欲で追い抜いていきます。

子供が通う卓球教室のホワイトボードに生徒のレイティングポイントが記載されていた頃。そこに親切心なのか我々夫婦のポイントも記載されておりましたが、もちろん下から一番、二番……。SARASHIMONO。これが現実です。「このままでは家族のカーストが崩れてしまう」。家庭の秩序崩壊を察知した私はレイティング大会からすぐさま足を洗いました。夫と子供のサポート役に回ったのです。

仕事でも何でも「数字、数字!!!」と言われますが、数字ほどリアルな現在地を露骨に突き付けるものはありません。アイドルも樊振東も、そして親も生身の人間という現実を子供に悟られる前に、数字の世界からフェイドアウトして本当によかった。

そして当事者ではなく、第三者へと立場を移した私は、夫や子供のポイントを見ながら「まだまだやなぁ~」と鼻で笑えるおおらかさを取り戻しました。この平和な日々と安心安全な立場を守り抜きたい。そして子供が受験で卓球を休む時が来たら、思いっきりコソ練をしてレイティング大会に復帰。コソコソとポイントを上げる計画です。そんなセコい母の矜持だけは2000ポイントオーバーかもしれませんね。