こちらは『卓球レディース』編集長の西村が、NOルールで綴る馬鹿馬鹿しい卓球日記です。11月25、26日、大阪・Asueアリーナで開催された全農カップ大阪大会へ。最後までしびれる試合の連続でした!
地下鉄の車両から選手にエールを
大阪のAsueアリーナで開催された全農カップ大阪大会へ行ってまいりました。今回はパリ五輪の最後の国内選考会。だからですかね? 卓球ファンの熱波が私の職場のひとつ、道頓堀辺りまでビンビンと届いていました。阪神の優勝パレードの熱気冷めやらぬ場所で、野球ではなく卓球のそれを感度高く拾っておったのです。
そして、その卓球熱を盛り上げるために、私はささやかな演出を大阪中に巡らせておりました。なんと大阪メトロの御堂筋線・谷町線・四つ橋線・中央線・千日前線・堺筋線の主要6線の全車両に卓球レディースの広告を掲出。お気づきの方はいらっしゃいましたか?
Asueアリーナの最寄り駅・朝潮橋。中央線で会場へ足を運ぶ卓球ファンに、卓球レディースの存在を知ってほしい。そして「大阪の地下鉄には卓球の広告が出るんだ!」と笑ってもらえたらなお嬉しい。大阪のおばちゃんのささやかな、お・も・て・な・しでした(合掌)。
トップ選手の豪華4試合をパラで
さて、私も地下鉄に乗って会場へ向かう途中、目の前に卓球レディースの広告があり、ドキリ。藤井寛子さんの写真を拝みながら、「藤井さんみたいな解説ができるくらい、つぶさに観戦してまいります」と誓ってアリーナへ。26日の最終日は男女とも上位8名が決まり、会場内の緊張感はひとしおでした。
この日は全4コートをフルに使い、女子の準決勝と順位決定戦からスタート。左から平野美宇VS大藤沙月の5₋6位決定戦、長崎美柚VS張本美和の準決勝、早田ひなVS木原美悠の準決勝、そして伊藤美誠VS横井咲桜の7₋8位決定戦の試合がババーンと!!!
ご、豪華すぎる……。
披露宴に行ったら、ワンプレートに伊勢海老とフォアグラとキャビアとステーキをドーンと盛られて出された気分。「小出しにして」とツッコミを入れたくなりました。すると隣に座るおじさんが「目移りしてたいへん」とポツリ。お気持ちわかります。私も普段はパソコンの33センチほどの幅内で眼球を泳がせているもので。
体育館の端から端まで、さらに得点が表示される壁際の掲示板まで見渡すなんてたいへん。ふたつのコートがデユースやマッチポイントなど見どころになろうもんなら、時速120キロのスマッシュに追いつくほどのスピードで視点を切り替える。いや~私の動体視力たるや。卓球やっててよかったよかった。
ってアレ? 一試合一試合つぶさに観察なんかできない(涙) 早くも藤井寛子さんに向かって土下座しなきゃいけない状況。なので、全体を俯瞰して頭に思い浮かんだ言葉をつぶやかせていただきます。
“女、風林火山”。そう、今日のこの時間この場所は女の戦場。
1コートでは、大藤選手が時に本家を上回る両ハンドのハリケーンで、平野選手を風の如く吹き飛ばしたり、2コートでは、長崎選手が張本選手の若さ溢れる攻めを食らっても、ゲームごとに氷嚢で頭を冷やし、林の如く静かに対応したり、3コートでは木原選手のバチバチのスマッシュに早田選手が火を起こす勢いでボールをこすって攻めたり、そして4コートには、ボールが何度オーバーしても動じない山の如き伊藤美誠選手がいたり……。
これらの試合を同時進行で観たもんだから、お腹がいっぱい。もう帰ってもいいな?
なんて思うもんですか!!!
試合直前にジャイアントキリング~♪流れてたよね
決勝の早田ひなVS張本美和は前のめりで観ましたともさ。つぶさに解説できるほどにね。そしておばちゃんの心はわしづかみにされました。美和ちゃんの小悪魔のような可愛さに。
1ゲーム目、早田選手のミドルに送ったツッツキがオーバーすると、ベンチコートのお父さんの方に振り向いて「やっちゃった」みたいな笑顔をおくる。ちょっと、あざと可愛いすぎませんか???
小中学生の試合ではよくみかけます。ミスのたびにベンチにいる親の方を見る子供。でもこれはパリ五輪代表選考の決勝戦。檜舞台でこんなにもキュートな姿を見せられる美和ちゃんって何者? と思ったら。
美和ちゃんはまだ15歳、中学生のジュニア選手であることを完全に忘れてました💦
卓球のうまさがベテランの域だから、つい大人と勘違いしちゃうんですよね。だって、早田選手に川の字のようなストレート連続攻撃を浴びせたかと思うと、ボウリングでスプリットを取るように美しく見事な左右へのクロス攻撃。相手は現在、日本卓球女子のピラミッドの頂点に立つ早田ひな選手なのに、とにかく攻めの姿勢を崩さないんですもの。最後は巻き込みサービスからの3球目スマッシュが決まり、4₋2で美和ちゃんが勝利。いや~お強い。
美和ちゃんは試合後、「率直に今、すごくうれしい」と爽快な笑顔でコメント。9回目の対戦でやっと勝てたのだとか。そう言えばほんのひと月前、ドイツのフランクフルトで開催されたWTTでは早田選手に黒星。たしか美和ちゃんは「もっと強くならないと……」と涙ながらにコメントしてたと思うんだけど、もう追いついたの? 早過ぎませんか?
だって早田選手もプロだから美和ちゃんと同じだけ練習している。自分もうまくなるけど、相手もうまくなるから追い抜かすのに時間がかかる。卓球はそういう競技だったと把握してるんだけど。例外をあげれば子供かな。小学校高学年~中学生くらいの子の成長スピードは恐ろしい。卓球始めたばかりの子が一ヵ月後にYGサーブ出してる光景は見るけど……。
あっ、そうか。美和ちゃんはまだ15歳、中学生のジュニアでしたね💦
今が身長と同じだけ卓球も伸びている時期。だとしたら、この先の成長が計り知れない。来年の全日本選手権の活躍とダンスの新しいステップも大いに期待しております。男子もFight!