こちらは『卓球レディース』編集長の西村が、NOルールで綴る馬鹿馬鹿しい卓球日記です。今回のテーマは用具マニア。子どもが大人へと成長する途中で必ず通る道?

うちは家族共通の趣味が卓球です。夫は私に内緒でコロコロとラバーを変更しております。内緒なのになぜ知っているかというと、接着剤の減りが半端ないからです。先日は、主婦でもないのに100均で1袋6個入りのスポンジを買っておりました。もちろん食器洗いではなくラバーの接着用です。負けず嫌いの私は夫が気付く前に、皿洗いでバンバン使って、接着使用3個vs食器洗い使用3個のイーブンに持ち込んでやろうと思っています。

それはさておき、もうひとつ懸念していることがあります。それは卓球教室に通う子供のこと。今はまだ親の言うことを聞く小学生ですが、数年後、中学生になる辺りで用具マニアになったらどうしよう? といういらん心配です。

子供の用具選びは親やコーチの仕事、いや特権。こんなにウキウキすることは中年になって滅多にありません。ショップでお目当てのラケット、それも軽いものを探して70g台前半の個体が見つかった時のお宝ゲット感たる也。秋元康先生も普通の女の子をアイドルにプロデュースする過程で、このような高揚感に満ちる時があるのでしょうか。それはどうかわかりませんが、時が来れば母親が選んだ服を着なくなるように、用具も自分で選ぶと言い出すのでしょう。

私の周りの中学生男子を見てもそうです。この間、卓球を始めたと思っていた子が気付けば歩く卓球辞書になっている。なんてことは日常茶飯事。なかでも筆頭はS君です。何を聞いても彼の口からはメーカーの最新情報が発せられます。もちろん全身も最新グッズのトータルコーディネート。その情報は正確無比で、グッズの価格までカタログノールックで答えてくれます(税込)。商品がカタログの何ページに存在するかも、彼の指が覚えています。S君がパッと開いた場所に求めている商品が載っているからです。指先の感覚が研ぎ澄まされた受験生が、調べたい英単語が載っているページを一発で引き当てるレベル。

私は卓球グッズを買うときは、S君にアドバイスを求めるようにしました。誰かの絵具に染まった情報ではなく、カタログ表記そのままの情報が欲しかったからです。S君が受験生になった時は、なんだか残念な気さえしました。その記憶領域が学問の知識に侵されるのですから。「卓球の用具が好き」。S君にはそのけがれなき純粋な脳と心のままで成長してほしい。私の勝手な願望。他人のお子さんだからそう思えるのかもしれませんね。

うちの子が自分でラバーを選ぶ時が来たら……、反抗期が卓球の用具選びからスタートしたら……と思うと、なんだかすごく寂しい。でも、その時は大人への階段を上るステップとして寄り添うべきでしょうね。うんうん。だから、頼む、我が子よ。高いのだけは選ばんといてや!!!