こちらは『卓球レディース』編集長の西村が、心に浮かぶ取り留めもないことを、NOルールで綴る馬鹿馬鹿しい卓球日記です。今回のテーマは用具変更。いつになったら用具ジプシーから卒業できるのか……?!
卓球レディースのみなさん。現在使用中のラケット&ラバー。そこに至るまでには数々の変遷があると慮ります。①メーカーのプロモーションに影響される集団催眠期、②他人の用具が欲しくなる隣の芝生ディープグリーン期、③用具マニアの先輩の言いなりになるマインドコントロール期……etc 「自分に合う用具はどれか?」という探求は、「自分とは何者か?」という思春期限定の自分探しとは似て非なるもの。答えが見つかったって面白くない。メーカーからカタログが刷り下ろされたら、インクの匂いが乾かないうちに新作を物色する。その飽くなき追及自体が醍醐味とお察しします。
けれども卓球を始めた頃は何を使っていいのかわからない。なんだったらラケットとラバーは別々に買うという知識もない。卓球ショップの中を迷える子羊のように彷徨っていると、お腹を空かせた③の狼の餌食になってしまう。そんな経験をされた方も多いのではないでしょうか? 用具は戦型をあらわすもの。最初に何を選ぶかで、その後の卓球人生が決まる。私も魂100までの三つ子のひとりです。
初めて使った用具は日本式ペンホルダー×スペクトル。その後、中ペン×表、日ペン×裏、中ペン×裏裏、シェーク×裏表と、用具のすごろくに沿ってコマを進めました。しかし、どのラケット&ラバーを使っても、ゴールの一歩手前で必ず「ふりだしに戻る」の目が出ます。あと少しで用具に合った打ち方が習得できるのに何と残念なこと。自我も抗えない大きな力が働いて、日ペン×表のスタートのコマに強制連行されるのです。その時のフォームのリセットの早さたるや。
迷いの時期を無かったものにするため、何食わぬ顔で日ペン×表で練習していても、周りの用具警察はすぐに気づきます。「あれ? ママさんラケット変えた?」卓球場での「ラケット変えた?」「ラバー変えた?」「それ新しいウエア?」はone of the挨拶ですから。天気の話より頻発します(ボールが落ちる雨は除く)。そして、お決まりのように「やっぱ、ママさんは日ペンと表が合ってるって~」と誰かが褒めてくれる。この飴ちゃんがよくない。甘やかされると、一連の流れに恍惚感を覚えてしまう。だから諦めるしかない。用具を変えたくなる出来心と用具を戻したくなる元サヤ期は無限ループでやってくる。
そして、また用具を変えてしまいました。今度は中ペン×表裏です。